漬物

「悪夢を見たんですよ。
重たい石が私を漬物にしようとするので私は身動きがとれない。塩辛い中に押し込まれて塩辛い涙を流す。塩辛い水のかさが増していく。私は身動きがとれないまま、涙は止まらないまま。ただ自分だけは見失わないように・・・しかし自分とは何なのか、わからないので見はっていられない。えんえんと泣き続けてとうとう私は漬物になる。塩辛い水で満たされて、柔らかく塩辛い漬物になる。その時、新鮮で塩辛くない私と同じものが残っていたら、それこそが“自分”であると?
柔らかい私は覚えているでしょうか?重たい石にのしかかられる前の私を。」