20100726

1限のテストが終わると、図書館で気象学の本を返し、メールと成績をチェックしてからバス停でバスを待つ。バスはゴトゴトと熱気の中を走ってきた。バスに乗り込み、恋人がもしかして乗っていないかしらと、ちらりと見渡すが、あまり見るのも恥ずかしいので空いている席に座った。青葉山でバスを降りると、恋人に「やあ」と声をかけられる。彼は私が乗るのを見て自分の隣が空いていることをアピールしたらしいのだが、全く気付かなかった。「君はとてもぼんやりしていたね。いつも僕と居る時と顔が全然違うよ」それはその通りかもしれない。周囲を警戒してなるべく目立たないように、人と目を合わせないように過ごしている顔と、特別愛しい人をみつめる顔とでは当然違いが出るだろうから。
今日はたまに訪れる神経過敏の日だったため、頭中で再生されるメロディですら泣ける。産毛はすべて鋭い刺であり、風が触れるだけでも私は山嵐のように刺を立たせて反応するのだ。雨が止み雷鳴がおさまって、帰りのバスではフロントガラスの目の前に座る。事故に遭い自分がフロントガラスを突き抜けて行く映像が浮かんだので、座席の突起物を思い切りつかんだ。手にはびっしょり汗をかいているし、やはり今日は心身共におかしい。熱を測ると少し高い。原因は分かっているのだから、こんな日は、じっと落ち着いて寝てしまうのが良い。
丸くタイルで囲われたクチナシの木のまわりを、1人の男子高校生が自転車で周り、「ねえこれ超甘い匂いする!超甘い匂いすっから!おまえらもやってみ!」と言っている。他の男子高校生も「ほんとだ、超良い匂いする!」と言いながら周っているのを見て、少し緩和される症状。