ももたろ3

ぐちゃ

 膨らんだ挙句にあまりきれいではない音を発しながら、桃は割れました。割れたというよりは崩れたと言った方が正しいかも知れません。そして、ふたりがさらに仰天したことには、なんと桃の残骸から赤ん坊が出てきたではありませんか。
「ばあさん、ばあさん、赤ん坊じゃ。男の子じゃ」
「なんじゃこの子は、泣いとらんが生きているのかのう」
「生きとるぞ、動いとる!おい、おまえさん、布じゃ、布を持ってきてこの子をくるんでやれ」
 ふたりが布を持ってきて赤ん坊をくるもうとすると、赤ん坊はもうハイハイをしていて、桃の残骸を食べているところでした。桃から生まれてその桃を栄養にするなんて、なんて画期的。
 子どものいない老夫婦、「これはきっと神の思し召しじゃ」と、赤ん坊を育てることに決め、子どもの名を安易に「ももたろ」と付けましたとさ。


つづく