半創作むかしばなし

ももたろ6

ももたろはてくてくと調子良く歩いていきました。すると、目の前に1匹の野犬が現れました。緊張が走ります。噛まれたらどうしよう。ももたろはそう思いつつ、なんともありませんよ、という顔をして通り過ぎました。ふぅ。良かった。 再びてくてくと歩きだす…

ももたろ5

ふたりは目が点。だってももたろは、体が大きいとはいえ、この前まで幼児だったのですから。食べてばかりで、勇ましい素振りなんて一度も見せたことがなかったのですから。 「突然何を言い出すのじゃ」「ももたろ、止めなさい」 ふたりは必死で止めにかかり…

ももたろ4

さてさて、すくすくと育ったももたろ、実に不思議な子どもでして、世話を始めてすぐにしゃべり始め、十日で立ち、廿日で歩けるようになりました。おじいさんおばあさん、驚きの連続です。ご飯もたんと食べ、茶碗一杯で一杯分だけ成長し、あっというまに十歳…

ももたろ3

ぐちゃ 膨らんだ挙句にあまりきれいではない音を発しながら、桃は割れました。割れたというよりは崩れたと言った方が正しいかも知れません。そして、ふたりがさらに仰天したことには、なんと桃の残骸から赤ん坊が出てきたではありませんか。 「ばあさん、ば…

ももたろ2

目が覚めるとおじいさんの顔がありました。「おお、気がついたかね」とおじいさん、ひと安心。おばあさんは目をパチパチして、そしてハッとして飛び起きました。「そうじゃ!桃!大きな桃じゃ!」よっぽど桃を気に入ったのでしょう。桃にしがみついたまま溺…

半創作むかしばなし「ももたろ」

昔々、と、ずいぶんな昔からいわれているので、そりゃあ昔のことなのでしょう。あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行くというのが晴天の日の日課でした。では雨の日はというと、1日…