ガラスの向こう


とある会議でとある市民センターへ行った。早く着いたので、小さな標本コーナーを見ていた。「仙台の自然」のような展示である。この一画を訪れる人は少なさそうである。事実、私も何度もこの市民センターに来たが、このようにじっくり展示を見るのは初めてだった。さびれた一画。パネルのボタンを押せば明かりが灯り音声が流れるはずが、ぶぅんと怪しい音が1秒間、鳴るだけだ。
魚・虫・化石・鳥・爬虫類・哺乳類・・・さまざまな死んだものが生きている姿のまま、じっとしていた。薬漬けになって。剥製になって。ピンで刺されて。じっとこちらを見る。シジミの漬かる水は濁り、虫は瓶にぎゅうぎゅうづめで、個々がどういう姿をしているのか分からない。
私は自然史標本館のような展示が好きなので、わくわくしてそれらを見ながら、しかし少しセンチメンタルな気持ちになった。