20101008 声

だれがどう悪いというのは無くて、ほとんど自分とどうにもならない状況のせいでいらいらしていた。当たり所がないために執拗に自分を責めることになるので、こういう状態はつらい。朝起きたらその状態は少しだけ改善されており(というのも夢の中に出てきた人々が皆優しかったのだ)、まあその件と何の関係があるのかは知らないが、私はふと自分の声を聞くことを思いついた。
まずはドナドナを一曲歌って録音してみる。普通だ。思った通りの歌声だ。
次に、書斎に入り絵本を抜き取った。宮沢賢治の「おきなぐさ/いちょうの実」。「いちょうの実」を朗読してみる。声色を、台詞によって変えながら。そして、録音したものを聞いてみる。
なんだこりゃ。
私の声は自分に聞こえているものよりもずっと幼稚で、正直、可愛い声だった。自分に聞こえているのはもっとカッコ良い、太い大人の女性の声なのに。昔から「声が変だ」と笑い者にされてきたが、それに時々自分で聞く機会があると「なんだこりゃ」と思ったのであるが、やはりどんなに頑張っても子供のような声だった。録音も、ミッフィーのナレーションををさらに子供っぽくした感じに仕上がっていて面白い。自分の声を聞きながらケタケタクスクスと笑い、いらいらは吹き飛んだ。あまりに面白いので何回も聞いた。自分の声で癒されるなど、とんだナルシストである。

おきなぐさ;いちょうの実 (日本の童話名作選)

おきなぐさ;いちょうの実 (日本の童話名作選)