ももたろ6

 ももたろはてくてくと調子良く歩いていきました。すると、目の前に1匹の野犬が現れました。緊張が走ります。噛まれたらどうしよう。ももたろはそう思いつつ、なんともありませんよ、という顔をして通り過ぎました。ふぅ。良かった。

 再びてくてくと歩きだすと、「噛んだりしませんよ」と、背後から声。びっくとして振り返ると、先ほどの野犬ではありませんか。「わわわ、なんだよぅ」半べそももたろ。なぜ、ももたろが噛まれると思ったことが分かるのでしょう。

「ももたろさん、鬼退治に行くのでしょう。そしてお腰に付けているのはきび団子ですね?ひとつ私に下さいな、お供いたします」

 怖すぎます。なぜこの野犬はももたろが鬼退治に行くことを、美味しいきび団子を持っていることを、知っているのでしょう。まさか…

エスパー?」犬は黙っています。やっぱりちょっと怖い。でも、もしエスパーならば、鬼退治に際しかなり頼もしい仲間になりそう。

「よし!きび団子をあげるよ。ぼくについてきたまえ」こうして犬が仲間になりました。


つづく