今日読んだ本

偶然の祝福 (角川文庫)

偶然の祝福 (角川文庫)

読むのは2回目。いや、3回目かな。忘れた。
本の中に入り込みすぎる癖があり、もうすっかり小説の世界が、情景が、感情が、日常生活みたいに、夢の中みたいに展開される。老人の頸の黄色い蝶々も精神科病棟の談話室に差し込む陽も、男のささやきも不安な気持ちも、すべてくっきり私の見たもの聞いたもの感じたものになるから不思議である。

梶井基次郎の「檸檬」も青空文庫で(正確にはコピーしてWordで縦書きにして字体を整えて)読んだ。
見慣れた風景をぼんやり眺めていると、どこか知らない他のまち(全然知らない風景なのになぜか懐かしさを感じる)へ旅行に来たような気分になる。それが妙に心地よい。
そして、得体の知れない辛さを緩和するのは、さっきまで予想もしていなかったものだったりするのだ。